今朝はよく晴れていて、それなのに雪がちらついていた。雪はずいぶん水分を含んでいるようで、陽にあたるとダイヤモンドダストのように見えた。
なんて、流暢なことをきのう書いて保存してねむって、目が覚めて、そしたら今朝は、大雪だった。積雪していた。警報まで発令している。
古都に降る雪はよい。趣がある。なんてまた流暢なことを。
過ぎた事、選ばんかった道、どれも覚めた夢と変わりやせんな。すずさん、あんたを選んだんは、わしにとって多分最良の現実じゃ。
わたしにとってあなたは「過ぎた事」で、わたしにとってあなたは「選ばんかった道」だった。
あなたにとってわたしは「過ぎた事」で、あなたにとってわたしは「選ばんかった道」だった。
そしてわたしは、「いま」を「あなた」と生きている。
こんなにもたくさんの、たくさんの雪が降るのに、わたしのこのまつげの上に乗るのは数えるほどしかない。わたしはそれを選べない。それでも、そのひとつたちにまばたきをさせられて、目をつむる。そうして目を開けたら、また、無数の雪が見える。わたしを選ばなかった雪は路面に積もって、街を白くする。きれい。きれいだね。
この世界の無数のわたしとあなたがそれぞれ、ただ一つだけ実現したこの現実の中で最良でありますように。
2017年1月