わたしの欠片をあつめる
あんなところに、まだ
こんなところに、まだ
わたしの欠片は押し込められる
キャリーケースの振動に耐え
逆再生の動作であるはずなのに
追加されているわたし たち
幸福と相殺されるような痛みや
記憶に薄れゆくような苦痛を私は持たない
痛みはただ痛みとしてあり
何度夢をみても苦痛に打たれる
傘は破れる
散らばる硝子を繋ぎ合わせたところで
ひびは可視化されているように
いつかと同じわたしに戻ることはできない
しかし
ゆびのはらでなぞれば血がにじむような断層を
埋めるものはただ愛である、と
あんなところに、まだ
わたし 生きている
あなたが日常を生きるここで
わたし 生きていたい