なにを聞いてもしっくりこない夜というものがあってね

 
     生きていたいなあ。
     私には好きなひとしかいないから生きていたい。私は、愛する人間です。みんな愛しているんです。ひとも季節も時間も。だから私を殺すとしたら私なのでしょう。みんな私を生きさせてくれているのだから、私を殺すとしたら私しかいない。と言っても自分のことを嫌いではない(クズだなあとかほんと何もできないなあとかは考える)。愛しているからこわくてたまらないよ。
 
     なにをするにしても、私はこれからも生きるのかなあみたいなところで立ち止まってしまう。贅沢なやつだな。しぬならしぬのだし、それまでは生きるんだよ。生きるなら、手段を考えなければならない。
 
     なにを聴いてもしっくりこない夜というのがあってね。そんな夜のやり過ごし方を知ることが生きていくということなのかもしれないよね。